風邪のとき食べたいものと、癒しの秘訣
前回の「寒さ」ついでに、日本の寒さについて
気温のみで比べれば、北海道や東北の一部を除く日本はここに比べて圧倒的にあったかい。
けれども、こちらに住む日本人たちは冬に日本に帰るのを躊躇することがある。
昨年末から今年のお正月にかけて三週間ほど里帰りをした。
久しぶりの年末年始。確かに外はそんなに寒くない。けれども家の中がどうも。。。
居間などいつも人がいるところは暖房がしっかり効いていてぬっくりだけれども、玄関や廊下、お手洗い、その他ベッドルームも人がいない時は暖房がついていないので「寒い!」
今は実家も一軒家ではないので、昔に比べれば極端な寒さはない。
古い木造建ての家だったころは本当に寒かった。長時間留守にして夕方帰ると、部屋が暖まるまでに一時間ほどかかることもあった。寝るときには温まっている部屋も朝方になると冷気で満たされていた。厚手のパジャマに羽根布団、さらに毛布を掛けて寝る。そんな感じだった。
これがセントラルヒーティングにすっかり慣れているカナダ住人には殊更こたえるのである。
ここでは外がいくら寒くても屋内ではどこもぬくぬく。完全にゆったりの心も体もリラックス状態。だからでも寒くて長い冬が乗りきれるのかもしれない。
例えば今年の1月初め、この街はマイナス23度を記録した。
天気予報で気温と共に伝えられる表示システム、ウィンドチル(体感温度)はマイナス38度だったらしい。(ちなみに、マイナス23度というそれだけで十分寒いと感じる気温に追い打ちをかけ「もっと寒いぞー」と訴えるこのウィンドチルは、風速と気温から割り出されている。)
幸い日本滞在中につきこの寒さを免れたのだが、こんな日でもここでは外に出ない限り家では暖かに過ごせるのである。
これらを鑑みると、、、
もしかしたら日本に滞在していた私の方が寒い思いをしていたかもしれない。。。
この冬、寒波に見舞われている日本。寒気が流れ込み続け、低気圧が居座り、北陸では記録的な大雪、東京などでも降雪量が多いということだ。散歩の回数や量が激減しているという母の話からも、皆、さぞかし寒い思いをしていることだろうと想像する。
こんな時は風邪やインフルエンザが流行りやすい。実は日本滞在中に2年ぶりの風邪で寝込んでしまったくらいだ。
そこで、
風邪の時、あなたはどんなものを食べますか?食べたいですか?
北米では、風邪といえば、チキンスープ。
昔から体調がすぐれない時の定番メニューとなっているこのスープ、風邪の時に食するのは理にかなっているようだ。
具体的には、
1、水分補給。風邪やインフルエンザからの回復には不可欠な要素。
2、 粘膜系統の流れを促す物質が含まれ、呼吸器系にある異物や感染を体から追い出すのを助ける。つまり鼻づまりや喉のイガイガの緩和を促す。
3、温かいスープなどの飲み物は免疫力を上げると同時に鼻の粘膜を温めることにより、症状軽減に役立つ
4、 ビタミン、ミネラルが多く含まれ、特に免疫力アップに役立つ栄養素が摂取できる。
例えば、鶏肉にはかぜ菌と戦う亜鉛、チキンスープの一般的な材料の人参は免疫を上げるビタミンA(βカロチン)がたくさん含まれるし、玉ねぎは鼻水や咳を静めたり、硫化アリルの殺菌、解毒の効果もある。
という風邪からの回復に役立ちそうな要素をチキンスープは含んでいるのだ。
とは言え、日本人にとって、風邪の時にチキンスープ、はあまり食欲がわかない。
申し訳ないが、風邪で寝込んでいる時に「チキンスープ飲む?」と言われても、自分でうどんやおかゆを作ったほうがいいと思ってしまう。
そう、やはり食べ慣れた心地よい食べ物が嬉しいのである。そして、日本で昔から食べられている風邪の時の代表的なメニューには上記のチキンスープの利点の多くが備わっている。
水分が多くて消化に優しいおかゆ
亜鉛を含む玉子や鰹節を入れたり、アルカリ性食品の梅干しで免疫力のアップや解熱効果も期待できる。
スープたっぷりのうどん
かつお、昆布ダシに鶏肉や玉子など(亜鉛を含む)、人参や春菊などβカロチンを含む野菜や体を温めるネギも具材として、うどんに(お粥にも)使われることが多い。
まさしく万国共通、昔の人の知恵!と感動する。
最後に一番大切なこと。
それは誰かにケアをしてもらっている心地よさ。家族だったり友達だったり、誰かが自分のためにご飯を作って看病してくれる。体も心も喜び、癒される。これに勝る薬はないかもしれない。
夫には申し訳ないが、、、
「食べたいもの(日本食)を(指示を出さずとも簡単に)出てくる」こればかりは残念ながら夫には望めないのである。。。
お粥やおうどんで看病される、これこそ正しく、日本帰国時の風邪で25年ぶりに経験した心地よさ であった。